研究室の紹介
しばらく、HPの更新が滞っていたので、あらためて、ゼミ選択を考えている1年生の皆さん向けに、研究室の紹介をしたいと思います。
鈴木研究室(鈴木ゼミ)は都市デザインをテーマとしています。都市デザインをテーマとした研究室というと、そのほとんどは建築学科などにあります。ではなぜ文系で都市デザインなのでしょうか?
もともと、私自身は建築学科で学び、都市工学科や土木工学科など工学系の分野で、景観、歴史をいかしたまちづくりについて研究や教育に携わって来ました。そうした経験の中で、これからは、ものを作る(建築をつくる)技術よりも、まちやその空間をどう使うかを考えることが重要だと考えるようになったからです。歴史のある建物を活用する、あまり活用されていない空間を活用する。そういった点から、まちづくりにアプローチしていくことができないかと思っています。
また、教育の面からも文献や論文を読むだけでなく、大学の外にでて、プロジェクトを動かす経験をすることが大事だと考えています。これを高等教育ではAL(アクティブ・ラーニング)PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)とも呼ばれます。演習(ゼミ)の時間だけ集まって本を読む、研究発表するだけでは、身につけることができないような経験、スキルがこれからの時代を生き抜いていくために必要だと考えているのです。これはまちづくり分野だけでなく、社会に出て様々な企業で働く時に必要とされる経験・スキルでもあります。
よく、まちづくりのイベントをやっている忙しいゼミと思っている人もいますが、イベント=まちづくりでは決してありません。その中ではいろいろな実験を行ってきています。少し、これまでのプロジェクトを振り返って見ましょう。
まず一つ目は十年以上続いている黄金町のプロジェクトです。ここは2005年までは売春で有名なまちでした。かつては高架下に100軒近いそうした小規模店舗があったのですが、1995年の阪神淡路大震災をきっかけに高架の耐震補強工事をすることになりました。そのため、高架下のお店が高架の沿いに移転したところ260軒まで増加し、24時間で営業するようになったのです。子どもたちが裸同然の女性の横を歩いて登校する様子をみたPTAのお母さん、店舗に囲まれて引っ越さざるを得ないような状況になってしまった地域の人たちが中心となり、まちを変える運動が始まりました。現在まで、文化芸術でまちを再生プロジェクトが継続して行われています。
ここでは研究室でコガネックス・ラボという小さな拠点を運営していました。(現在は閉鎖、アーティストのアトリエになっています。)これはかつての違法な営業をしていた店舗をリノベーションしたもので、ここを拠点にさまざまな活動を行いました。2008年に地区再生のために行われたアートイベント黄金町バザールの際には、カフェとして運営しました。
コガネックス・ラボのオープニング(2007)
学生たちもリノベーション作業を手伝いました。
黄金町バザールの際のカフェとしての利用
黄金町バザールの際に企画運営した大岡川沿いのパラソルショップ。(2008)当時はほとんど歩く人がいなかった場所に人の流れとアクティビティをうむためのプロジェクト
こういった活動は現在にも受け継がれています。高架下の施設やかいだん広場を楽しく使うマルシェイベントなどもNPOやOBOGと連携して行っています。
また、こういったノウハウをほかにも活かせないかと、「あおぞらリビング」プロジェクトをスタートし、象の鼻パークや大通り公園で実施しています。
高架下のかいだん広場でのイベント
象の鼻パークでのイベント
いま、日本の都市は人口減少、超高齢者社会の問題を抱えています。そのためには、新しく都市をつくる技術よりも、いまある都市の良いところを活かしていく技術が求められていると思います。そのために、さまざまなプロジェウトを通して、実践のなかなか学んでいくというのが私たちの基本的な姿勢です。大学にだけ先生がいるわけではありません。まちの中にはたくさんの先生が、学ぶべき事例がたくさんあるのです。
現在、進めているプロジェクトは主に三つです。黄金町のプロジェクト、冨岡能見台の戸建て住宅地活性化のためのプロジェクト、そして金沢区心部活性化のプロジェクトです。これ以外にも、医学部と連携したまちづくりのプロジェクトなどもありますので、ぜひ研究室で自分の力を試して見てください。
また、学年を越えてプロジェクトを実施しているので、先輩後輩と接する機会が多いのも鈴木研究室の特徴です。
外でのプロジェクトが多いので、ゼミ以外の時間帯での活動も生じます。そのため、ゼミ以外の時間帯がとれない学生さんにとっては正直厳しいと思います。ただし、これまでの所属学生にも運動会や浜大祭実行委員会など、部活、サークルで忙しい人もたくさんいました。むしろ積極的になんでもやってやろうという人の多くは、部活動やサークルに熱心な人が多いので、皆で協力しあいながら活動時間を捻出していました。自分自身でそういったマネージメントのできるようであれば大丈夫です。
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